texlive パッケージ

Vine Linux 6 が提供する TeX 環境は、 TeX Live 2009 を元にした日本語 TeX です。 日本語 TeX 環境の根幹をなす土村展之氏による ptexlive および北川弘典氏による e-pTeX の成果をそれぞれ取り込み、Vine Linux 独自の調整を施しています。

teTeX から TeX Live へ移行しました

Vine Linux 1.0 から Vine Linux 5 までの間、 Vine Linux の TeX 環境は、TeX ディストリビューション teTeX を元にした日本語 TeX でした。 Vine Linux 6 からは、現在主流である TeX ディストリビューション TeX Live へ移行しました。

1.2.1. 標準の明朝体とゴシック体

標準の明朝体(rml)とゴシック体(gbb)は、 それぞれ IPA 明朝、VL ゴシック に設定しています。

他の TrueType フォントやモリサワ、ヒラギノ、小塚などの OpenType フォントへの変更や利用をしたい場合は、 セクション 2.2 - フォントマップ一元管理機構 updmap を参照して下さい。

1.2.2. ptexenc による文字コード自動認識

Vine Linux 5 以降では、標準ロケールが utf-8 になったので、 日本語 TeX 環境もそれに合わせて、 標準の文字コードを utf-8 になっています。

過去に書いた非 utf-8 エンコーディングな TeX ソースコードがそのままコンパイルできるように、 ptexenc による文字コード自動認識を標準で有効にしています。 これは /usr/share/texmf/web2c/texmf.cnf に以下のように設定しています。

% for ptex filter
PTEX_IN_FILTER = /usr/bin/nkf -w

1.2.3. 日本語対応主要プログラムのコマンド名

Vine Linux 6 の TeX 環境は、 TeX Live に移行しました。 そのために、いくつかの日本語対応している主要プログラムのコマンド名が名前変更されています。 これは、日本語 TeX が TeX Live に取り込まれる際に、 オリジナルの TeX Live にあるプログラム名との衝突を配慮した変更です。 ここでは、Vine Linux 5 の teTeX から TeX Live へ移行したときに変更されるコマンド名を掲載します。

表 1-2teTeX から TeX Live へ移行したときに変更されるコマンド名
teTeX TeX Live
dvips pdvips
xdvi pxdvi
jbibtex pbibtex
pltotf ppltotf
tftopl ptftopl
主要なプログラム名変更への Tips

今まで teTeX で慣れ親しんでいる方は、 TeX Live でも dvips コマンド や xdvi コマンドで、 それぞれ日本語対応の (p)dvips や (p)xdvi が利用できた方が、 嬉しいかもしれません。 そこで、例えば、bash では、 以下のように ${HOME}/.bashrc に xdvi, dvips の alias を記述すると、 TeX Live 環境へ移行してからも xdvi, dvips のままで、 それぞれ日本語対応の pxdvi, pdvips が使えます。

[ -f /usr/bin/pxdvi ] && \
    __xdvi=/usr/bin/pxdvi || \
    __xdvi=/usr/bin/xdvi
[ -f /usr/bin/pdvips ] && \
    __dvips=/usr/bin/pdvips || \
    __dvips=/usr/bin/dvips
alias xdvi='$__xdvi'
alias dvips='$__dvips'
	    
csh における上記と同様な設定は、 ${HOME}/.cshrc に以下のように記述します。
if ( -f /usr/bin/pxdvi ) then
    setenv __xdvi /usr/bin/pxdvi
else
    setenv __xdvi /usr/bin/xdvi
endif
if ( -f /usr/bin/pdvips ) then
    setenv __dvips /usr/bin/pdvips
else
    setenv __dvips /usr/bin/dvips
endif
alias xdvi '$__xdvi'
alias dvips '$__dvips'
	    
必要に応じて、alias xdvi に -mgs1, -mgs2, -mgs3 や -editor などのオプションを入れておいてもよいでしょう。 最近、一般的なモニタでも、 高解像度を備えたモニタが多くなってきました。 xdvi -mgs3 1200x1200 くらいに設定した方が、 いまどきに合うかもしれません。

1.2.4. dvipdfmx -p および JIS B 列用紙サイズについて

teTeX 環境の dvipdfmx と TeX Live 環境の dvipdfmx の -p オプションについて、 JIS B 列用紙サイズを指定したときの挙動が異なります。

TeX Live では、dvipdfmx -p jisb5 で JIS B 系版型が出力されます。

$ dvipdfmx -p b5 -o hoge-b5.pdf hoge
=> ISO B5
$ dvipdfmx -p jisb5 -o hoge-jisb5.pdf hoge
=> JIS B5
	  
本件に関する詳細は、奥村晴彦氏が運営する TeX Wiki 内の [qa:55558] 美文書作成入門改訂第5版の付録DVD-ROMに同梱されているdvipdfmxの-pとJIS B列用紙サイズについて などをご参照下さい。

1.2.5. TeX Live 内のドキュメントを検索する

TeX Live には、texdoc というドキュメント検索ツールが付属しています。 例えば、Beamer のドキュメントを見たいとき、

$ texdoc beamer
を実行すると、 beameruserguide.pdf を返してくれて、閲覧できます。

texdoc を利用するまえに、 あらかじめ task-texlive-doc または、 task-texlive-full-doc を入れておいてください。 そうしないと、ほとんどのドキュメントが閲覧できません。

また、texdoc の GUI 版として、texdoctk があります。

$ texdoctk &
図 1-1texdoctk: TeX Documentation Browser