Vine Linux 6 (Haut Brion) について
Vine Linux 6 は Project Vine および多くの協力者によって開発が行われている Linux ディストリビューションです。
Vine Linux 6 では、前バージョン(Vine Linux 5.2 (Palmer))から多くの改良を加えました。
Vine Linux 6 には、Vine Linux CR (製品版) に含まれる商用アプリケーションを含みません。
リコーフォントやDynaFontなどの商業フォントの替わりに、フリーの TrueType フォントが含まれています。
Vine Linux 6 は、Gnome デスクトップ環境を最小構成でインストールできる CD エディションと、開発陣おすすめのパッケージをまとめた DVD エディションが提供されます。どちらも USB メモリからインストーラを起動することもできます。
開発のポイント
Vine Linux 6 は以下の点に重点をおいて開発されました。
日本語入力システムの刷新
対応アーキテクチャの変更
- 対象 CPU を i686 (Pentium Proクラス) 以上とし、全パッケージの最適化を変更しました。
軽量・高速
- 起動時のメモリ消費量を軽減、起動時間を短縮
安定性の向上
- ハードウエア対応の強化
- ハイバネーションの安定化
- TuxOnIce 3.2 によるシステム休止の高速・安定化
各種自動設定
- udev によるハードウエア自動設定
- X.org X11 server 1.10 による X の自動設定
ルック & フィールの改善
- アイコンテーマの改良
- GNOMEデスクトップ
- ウィンドウマネージャ metacity のコンポジット(合成)マネージャを有効にしました。
- ウィンドウの影や半透過ウィンドウ等が表示されるようになります。
- GNOME デスクトップの下部パネルを廃止し、上部パネルに統合しました。
- フォント
新機能
Vine Linux 用 RPM パッケージの開発支援ツールを提供します(VinePlus)。
開発支援ツール
- vbootstrap
- Vine Linux の最小構成ツリーを作成するブートストラップツール。
- vbuilder
- vbootstrap を利用して chroot 環境を構築し、その中でパッケージを構築できるようにするツール。
パッケージ管理ツール・機構
- アップデートマネージャ - update-watch
- GNOME 利用時に通知スペースにパッケージ更新情報を表示します。
- おすすめパッケージの簡易インストール - vine-app-install
- 自動パッケージ生成 - self-build
- self-build システムにより配布に制限のあるパッケージなどをインストール時に自動的にビルドしてインストールされます。
- 商用パッケージの自動取得インストール - install-assist
- Adobe FlashPlayer や Reader など商用パッケージを自動的に取得し、パッケージとしてインストールされます。
- 動的なカーネルモジュール生成 - dkms
- Dynamic Kernel Module Support により自動的にカーネルモジュールが生成されます。
- パッケージ管理ツール
- rpm + apt を基本としたパッケージ管理を行っています。
- グラフィカルなインタフェースとして synaptic を提供しています。
Vine Linux 5 からの変更点
仕様上の変更点
- セキュリティに関する変更
- インストーラで作成した一般ユーザアカウントが標準で sudo できるようになりました。
- インストーラで作成した一般ユーザアカウントは wheel グループ(管理者グループ)に所属するようになりました。
- wheel グループには標準で sudo 権限が付与されます。
- インストーラで作成した一般ユーザアカウントが標準で sudo できるようになりました。
- デフォルトファイルシステムの変更
- インストーラで作成される標準のファイルシステムが ext3 から ext4 へ変更されました。
- X の自動設定
- X においてポインターデバイス、キーボードデバイスは udev による自動設定がされるようになりました。そのまま xorg.conf に記述しても反映されません。
- ほとんどの場合 xorg.conf を削除しても自動認識で動作するようになりました。
- 起動時のコンソールの隠蔽
- bootsplash から plymouth に変更になりました。
収録ソフトウエアの刷新
- コアコンポーネント
- Kernel-2.6.35.13
- glibc-2.11.1, gcc-4.4.5
- X.org X11R7.6+
- rpm-4.8.1
- upstart-1.2
- GNOME2
- 安定の GNOME-2.32.1 を採用
- ブラウザ
- 最新の Fx 5.0 (Firefox 5.0 ソースコードベース) を採用
- メール
- 引き続き Sylpheed (3.1.1) を採用
- TeX (texlive)
- ptexlive-20100711 を元にした日本語 TeX 環境の提供
- Emacs
- Emacs23 を標準とし、各種設定のシステム標準化
- 軽量プログラミング言語
- perl-5.12.3
- python-2.6.6
- ruby-1.8.7.334
- サーバアプリケーション
- apache2-2.2.19
- bind-9.6.ESV.R4.P3
- cups-1.4.6
- postfix-2.8.3
- proftpd-1.3.3e
- samba-3.5.10
システム要件
Vine Linux 6 は Intel 互換 CPU の 32 bit バージョンと、64bit バージョンが提供されます。
全パッケージが、i686アーキテクチャに最適化されています。このため Classic Pentium 以前のハードウエアでは動作しません。
また、PPC (PowerPC 搭載 Macintosh) バージョンはリリースしません。
i686 (32bit) バージョン
- CPU
-
i686の命令セットをもつ CPU (VIA C3 を除く Pentium III 以降を推奨)。
Gnome デスクトップを利用するなら 1GHz 程度が目安となります。
x86_64 (64bit) バージョン
- CPU
- 64bit 対応の AMD64 または Intel64 アーキテクチャのCPU (Athlon64,Phenom,Opteron,Core2,Core i7,i5,i3など) 。
i686、x86_64 共通
- メモリ
- 512MB以上推奨 (X 利用時)
- HDD
-
- 最小構成(ベースシステム)で 1GB 程度
- CD エディションフルインストールで 2GB 程度のインストール領域
- DVD エディションフルインストールで 5GB 程度のインストール領域
- 動作確認されたハードウエア
- http://trac.vinelinux.org/wiki/HardwareInformation/Vine6
Vine Linux 5x からのアップグレード時の注意点
インストーラを利用したアップグレードを行う場合は、Vine Linux 5x CD エディションからインストールされた環境でも、DVD エディションの利用をおすすめします。収録パッケージが多いため、より多くのパッケージのアップグレードが期待できます。
DVD エディションでのアップグレード処理が完了したあとに、 apt や synaptic により残りのアップグレードを行う必要があります。
# apt-get update # apt-get -f install # apt-get dist-upgrade
Vine Linux 用以外のパッケージ、商用ソフトウエアなどを利用している場合は、正常にアップグレードできない可能性が高くなります。あらかじめ削除しておくことをおすすめします。
サポート・免責
Vine Linux 6 は製品版と違い、サポートサービスを付属しておりません。
何らかの問題が起こった場合、質問などがある場合は、vine-users ML などへご投稿をお願いします。必要であれば、サポートサービスのみをご購入いただくことも可能です。
Vine Linux に含まれるソフトウエアに何らかの問題が発生した場合は、個々の問題に利用者ご自身で対応していただきます。Project Vine を含む開発者、販売者およびその他のいかなる関係者も一切の責任を負いません。 個々のソフトウエアのライセンスなどに問題が発生した場合は、それぞれのライセンスや契約に従ってください。