Vine Linux リリースについて
1998年11月16日
Project Vine
この度 Project Vine は、日本語環境を統合した Linux 配付パッケージ
『Vine Linux 1.0』をリリース致します。
1 Project Vine とは
Project Vine は、より良い日本語対応 OS をリリースするために組織されました。
メンバーは、はねひでや、すずきだいすけ、にしいじゅん、松本庄司、竹田英二、
武井和久より構成され、それぞれが
Linux 各方面で実績があるメンバーです。なお、全員が PJE(Project JE)のメンバー
であることも特徴です。
2 何故 Vine Linux なのか
Vine Linux は、インストールから日本語アプリケーションの利用までを初
心者でも簡単に行うことのできるよう考慮した、Linux 配布パッケージです。
従来 Linux での日本語環境は、PJE のように既存の英語配布パッケージ
に日本語パッケージを追加する方法が広く使われてきました。しかし、この
方法では、英語配布パッケージをインストールするときの英語メッセージと
いう最初のハードルにつまづいてしまうことがありました。また、さらに日
本語版パッケージを加える必要があり、トータルで見た場合、理想の配布パッ
ケージではありませんでした。
Project Vine の個々のメンバーは、PJE の開発に携わった際に、様々なディ
ストリビューションの各バージョンに完全に対応する日本語環境を提供するた
めには大変な作業を必要としながら、十分な日本語環境の構築を行えないこと
を痛感しました。そして、本当に利用者が使いやすい日本語環境を作成するた
めには、利用者でもあり開発者でもある自分たちが使いやすいパッケージが必
要であると考えました。そこで Project Vine は、各自のスキルを生かして本
当に使いやすい日本語配布パッケージを開発しました。
3 Vine Linux の特徴
より完全な配布パッケージを目指し、Vine Linuxは以下の特徴を持たせまし
た。
- RedHat Linux 5.x ベース
海外で最も広く利用されていると言われている RedHat Linux 5.x がベース
になっています。海外の商用アプリケーションは RedHat Linux を前提に開発
されていることが多く、それらをそのまま利用することができます。また、
RedHat Linux の大きな利点のひとつある完全なパッケージ管理を踏襲してい
ます。
- glibc2と日本語localeの採用
国際化プログラミングを考慮した glibc2 と、glibc2 を日本語 locale 対
応にする wcsmbs を採用しています。従来の標準的な日本語環境である
libc5+X_LOCALEで発生していた NetscapeCommunicator などでの日本語表示・
入力・編集の不都合が解消されます。また、国際化に考慮して開発されている
Oracle8 などの商用アプリケーションでそのまま日本語を利用することができ
ます。
- 日本語アプリケーションソフトウェアの収録
Add-on 型の日本語アプリケーションパッケージとして実績のある PJE をベー
スとした日本語アプリケーションソフトウェアを収録してありますので、イン
ストール後、ただちに日本語環境下で使用することが可能です。加えて、後述
の Vine Tools、日本語 Netscape も即使用可能です。なお、標準のかな漢字
変換システムには、かんなを採用しています。
- Vine Tools
独自開発のアプリケーションソフトウェア(Vine Tools)が用意され、特に
UNIX に詳しくない初心者に必要十分な機能が提供されます。Vine Tools では、
最も使用頻度が高いと思われる、メーラ
、簡易エディタをまず収録しま
す。
- 日本語インストーラ
RedHat Linux のインストーラを日本語化し、さらに容易にインストールで
きるようにカスタマイズしたものを用意してあります。
- 日本語マニュアル・ページ
JMAN(Linux Japanese Manual Project)による日本語マニュアル・ページを
収録していますので、標準的なコマンドの使用方法を日本語で閲覧することが
できます。
- コンパクトな配布パッケージ
基本的なソフトウェアについては、バイナリ+ソースが 1 枚の CD-ROM に
収まるように考慮されており、雑誌等付録への収録も容易です。OS として十
分に吟味された内容ですから、サーバ用としても十分に利用できます。もちろ
ん Apache、Gimp、Netscape 等の著名なソフトウェアも含まれています。
また、それ以外のソフトウェアについては、オプショナルの形で提供をする
予定です。
4 動作プラットホーム
Vine Linux 1.0 は以下のアーキテクチャで動作予定です。
- PC/AT 互換機 Intel
- Alpha PC
- Sparc Workstation
5 配布について
Vine Linux は以下の方法で配布する予定です。
また、フリーでは解決できない商用フォント等を含めた Official版(仮)や、
特にセキュリティ等を考慮したサーバ・バージョンについては、別途計画中で
す。
6 リリース時期
1999年1月Intel版(予定)。Alpha、Sparc については順次リリース。
7 連絡先
Vine Linux 及び Project Vine に関する問い合わせは、
Vine@flatout.org
までお願い致します。
以上
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